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見えないキカイ Vol,6 「自我罰」

story

分の”始り”を知る者は少ない。
ただ日々の繰り返しの中で、今日まで生きてきた。生きてしまった。

彼の一刺しで人は”始まる”。
見えないルールとつながっていた幼い児の、疑いを持ったその胸に、
刃は深々と刺さり、自分の一部を失う。

ぽっかり開いた胸の痛みに耐え、ふさぐものを探すことで、人として生き、人らしく生きられる。

 

探す忍耐を無くした者を、彼は許しはしない。
欠損の痛みに姑息の蓋をして、
良くも悪くもなれず、天国へも地獄へも行けず、
薄暗い平原をさまよう者を、彼は許さない。

痛みを思い出させるために、いつか彼は太陽の方向から急降下して、

見せかけの蓋を貫くだろう。


天に向かって投げた石が、再び自分の額を撃つように。

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