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育ちたがる金属Vol,1 「万象」

story

ある夜、街灯の下で鋭く光るものを見つけた。

それはいびつな形をした金属だった。

手の中で仄かな熱を持ち、音を立てて形を変えつつある。

実に面白く、私はそれを持ち帰った。

 

翌朝、机上にあった金属は不可思議な形に変化していた。

金属からは腕のような部分が伸び、中心部は淡く発光していた。

 

恐る恐る手にとると、金属は呼応するかのように強く光り、音を立て始める。

 

甲高く、どこか人の声に聞こえた。

金属は硬度を保ったまま身を震わせ、叫んでいるようだった。

 

何かになりたい、形づくりたいと。

誰に話しても信じないようなことだから、私はひとりこの金属の観察記録をつけようと思う。

 

これが一体何になるのか、私にもわからないけれど。

おそらくは素敵なものに変わるだろうから。

 

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